第08回

前回から3話連続
お客様に愛される企業 グローバル化を目指す企業としての〝how-to〟 連続企画として紹介させていただきます

更新予定内容
前編 グローバル化を目指す企業として必要な姿勢と要素
中編 企業としての体力。基礎力の重要性
後編 かけがえのない「もの」を守り育て、継承する

中編  企業としての体力。基礎力の重要性。

前回は、骨太な企業として国際化を成し得る上で、企業・企業人としてそうあらなくてはならない〝基礎の部分の構築〟〝活性化による作業効率の向上〟などに対する深井社長的スタンスを紹介させていただき、その中の試みのひとつとして、新しく中国・シンセ ンに連絡事務所を設置、そこに集まってきたグローバルかつ最先端の情報を社長自らが切り取って日本に持ち帰り、会社内、或いは関連する仕事の場において最大限に活用して新たなムーブメントを起こすための起爆剤としていく…。
という中長期的な構想を紹介させていただきました。
そこで今回は、そのように多角的なグローバル化を進めていくという、非常に大きな多くのベクトルを必要とする事業を展開し、実践していく企業として充実させなければならない〝体質と体力〟について。
さらには企業活動の根幹となる〝基礎力〟とはいかなるものなのかなど、実践面で掘り下げたいと思います。

自分を前に出し発言する。 有言実行で確実に進める仕事。

Q. 前回、仕事を正確に、そして効率的に進めるために、

  ・研ぎ澄ました感覚で集めた価値ある情報を皆が共有する。
  ・自分が持つ情報(問題点も含め)も、公開して仕事に係わる皆で共有する。
  ・特に問題が発生した場合は、速やかに状況を公開し、皆で対処してトラブルを回避する。

などの点に留意し〝面で行う仕事〟を行い、仕事効率が大、脆弱性が小である構造が理想形のひとつであるというお話がありました。 では、その部分を深井社長はどのように実践されているのかお聞かせください。

自分を前に出し発言する。 有言実行で確実に進める仕事。

A. まず第一に「自分を前に出すように、自分の意見を積極的に出すように」という指導です。 つまりそれは、周囲から見れば、

  • 彼・彼女は今、どんな仕事をしているかの確認。
  • その仕事の内容、仕事が目指している方向性の確認。
  • 進捗状況の確認。
  • 問題点の有無の確認と修正によるトラブルの回避。

などで、そうすることが仕事を効率良く行え、きめが細かくぶれの少ない作業が実現、高品質で安定した製品を安価で提供できるという結果につながります。
別の見方をすれば、発言により〝計画・状況・結果〟を報告・相談するということは「発言した本人が責任を持って仕事を遂行していくという〝有言実行〟のシステムを当人の意識の中に組み込む」という狙いもあります。その起点として必要不可欠なのが発言であり報告なのです。
それはつまり、担当者に責任を持たせることであり、結果として、ユーザーを裏切らない、〝品質の保持・納期の安定〟等が実現するのです。

細分化した管理体制が良い製品を生みだす。

Q. 今のお話に関連してですが、今後のサイエンスネットにおける〝作業の情報に関する管理体制〟について考えられていることがあればお聞かせください。

細分化した管理体制が良い製品を生みだす。

A. これまでは私や副社長が、社員の動き・作業に対して常時アンテナを向け、時としては頻繁に各々の持ち場を巡って情報を収集し、問題点があれば早期発見、速やかに修正や修復を指示、トラブルの発生や拡大を阻止することに努めていました。
しかし、現在に至る会社組織が成長していく中で、部長や係長などの人材が新たな管理者としての能力をどんどん身につけ、管理組織が確立してきましたので今後は、

  • もっと現場に近い位置(事業部、作業別)で可能な限りリアルタイムで。
  • 情報に対して広げる網目を細かく強靭に。

等、仕事に関する様々な情報を管理・共有することにより得られる安定した環境下で、個々の従業員には切磋琢磨して仕事を進め、よりよい製品を生み出す努力を惜しまない日々を送ってほしいと思います。

現在の中国は情報の坩堝 だから行く価値がある

Q. では次に少し方向を変えて質問させていただきます。
前回のお話で大きな要素のひとつであった〝グローバル化〟に関連して、最近密にされている中国を軸としたアジア圏とのパイプ…。 その太さや密度をこれから どのようにしていこうと考えられているか…その点いかがでしょうか。

現在の中国は情報の坩堝 だから行く価値がある

A. 確かに私は最近、頻繁に中国に行き、いろんな角度でこれからの事業を模索しています。
ただ、その中で今の中国経済は確実にバブル期だと感じます。その感触は現地に行けば尚更です。同時に貧富の差、都市部と農村部との差が非常に激しいのも目の当たりにします。その様子から私が感じているのは、明らかに今の中国経済の構造は正しいものではない。健康体でない要素を持っているということです。
では何故、私がそういう状況の中国に事務所まで開設してまで接点を多く取ろうとしているのか…。
それは前にもお話ししたように「グローバルな情報を集めたい」という一点に尽きます。
であるので、今後の展望として私は中国の経済にぶら下がる意識は微塵もなく、中国が現在のような〝グローバルな情報が集まってくる拠点〟としての特性を失ったら、私は次の情報拠点にアクセスする行動を即座にとるでしょう。言い換えれば、「中国の経済がこれから先まだまだ伸びていくのか、それとも、近い将 来はじけてしまうのか…」などということは、私の価値観の対象ではないのです。
尤も、経済活動が低下すれば出入りする情報量が低下するのは当たり前のことなのですが…。

基礎的な人材(基礎力に長けている人材)を擁することが必要急務

Q. では最後に、商品などの国際的競争力で、中国に急速な発展をもたらしたファクター(factor)についての考えをお聞かせください。

基礎的な人材(基礎力に長けている人材)を擁することが必要急務

A. まず次のように考えて下さい。 産業や経済を支える技術というくくりで考えた場合、そこには〝基礎技術〟と〝応用技術〟があると思います。 その中で小さいものでは、例えば電池。大きいものでは新幹線などの例を挙げられますが、これらは〝応用技術〟によってもたらされたものだと言えます。
具体的に言いますと、電池をひとつ買ってそれを分解し、中の構造や組成を調べれば、あとは原料や製造のための装置を準備するだけで、同じものを作ることができます。
その見方で新幹線の場合を考えると、日本がこれまで半世紀もかかって蓄積してきた新幹線技術を中国は模倣することにより、わずか2年くらいで実現化したと言うことができます。
しかし、言いましたように、日本に対して、中国を含めた諸外国の新幹線では営業運転に至るまでのプロセス面で根本的な違いがあると思います。つまり、安全・快適性を第一に、路線(軌道)計画・車輌性能・運行面に対して、検討・試算・試作・実験などを重ねて集められた膨大な基礎データの上に構築されたのが日本の新幹線技術であれば、反対に海外の新幹線技術は、日本の方法(経験値)を模倣したやり方、コピーしてきたデータの上にシステムや装置を作り実用化したものだと言えます。
変な例え方かも知れませんが、石橋を叩いても迷うのが日本流であるならば、石橋を叩かずとも渡るのが発展を急ぐ諸国のやり方だと思うのです。そのような大きなスタンスの違いの中で競争をしているのがまさに日本を取り巻く今の国際社会ではないでしょうか。
しかし、そこで忘れてはならない重要なこととして、 絶対に時間や労力を必要とするのが基礎研究であり、それに対して応用研究は取り付くことが簡単で、真似をすることも容易なのですが、基礎研究はそうそう簡単には真似をすることができません。
もっと言うならば、「日本人のみんなが持っている一番重要な技術は何か?」と問うた場合、それは〝人間〟そのものであると思います。
人・考え方・文化そういうものこそが本当の基礎の部分であり、外国の人が真似をしようとしても、数十年くらいの時間では真似ることが難しい、別の言い方をすれば〝日本が有する最も国際競争力がある資源〟です。

私はこれからこの会社(サイエンスネット)を良くしていこうとする上でも全く同じ考え方で、〝基礎的な人材〟(基礎力に長けている人材)を擁することが必要急務で、そのための人材で固めるために基礎研究の部分である〝人材研究〟を精力的に進めたいと考えています。 それにより、競争力の強い商品が生まれる。というのが私の信条です。 良い人材からは、良い商品、良いものが生まれます。

(第9回へ続く)

 

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